不動産は素人と業者の情報格差が大きい業界です
私が不動産業界に長く携わっていて、つくづく感じる事があります。
それは、不動産は売り手と買い手の情報格差がものすごく大きい業界だという事です。
不動産業者は毎日不動産取り引きを行っているプロフェッショナルです。
一方で、住宅購入を考えている一般の方々は「一生に一度の買い物」になることが多いでしょう。一生に一回しか不動産取り引きをしない一般の方々が、毎日不動産取り引きをしている不動産会社の社員に知識で肩を並べるのは難しいです。
毎日さまざまな物件を見て、年間に何件もの不動産売買を繰り返している不動産会社の社員との情報格差を少しでも埋めるには、もちろん不動産を勉強することは必要ですが、それだけでは足りません。
親戚やお知り合いの方で、不動産業をやられている人、宅建を持っている人などがいれば迷わず相談した方が良いです。
セカンドオピニオンとして相談してみて、話を聞いてみるといいでしょう。不動産に携わっている人であれば当たり前のことでも、一般の人には解らないことは多いものです。
本来、それは不動産業者の営業マンの仕事かもしれませんが、営業マンはあくまでも自社の売り上げと利益を重視する立場ですから、必ずしもあなたにとってメリットのあるアドバイスばかりをしてくれるとは限りません。
嘘をついて騙すようなやり方は論外ですが、営業マンが商品の良いところやメリットばかりを並べ立てるのは、ある程度は仕方ないものです。それが仕事ですからね。
なので、利害関係の外にいる不動産関係に詳しい人に相談することが重要です。
最近では、無料で不動産購入の個別相談に乗ってくれるサービスも出て来ています。知り合いに詳しい人がいない場合は、利用してみるのも良いと思います。
住宅インスペクションの活用
また、中古物件を購入する場合は「住宅インスペクション」というものがあります。
これは、中古住宅の構造の安全性や劣化の状況を把握するために行う検査・調査のことです。
この検査・調査を行うのは不動産業者とはまた別の、専門の業者です。
専門の業者が行うため、客観性や中立性が確保され、公正な検査・調査が期待できます。
中古物件を購入する場合で、物件に不安がある場合は担当営業マンに「住宅インスペクションをお願いしたい」とお伝えしてみるのもひとつの手です。
2013年に国土交通省が「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を出している事もあり、近年では広く一般的になりつつあります。
国土交通省としても、これからの少子高齢化と人口減少社会にむけて、これまでのスクラップ・ビルドの住宅政策と新築信仰を見直して、既存のストック住宅の流通に目を向けています。
今後ますます、中古住宅、中古マンションについては消費者に有利な法制度が整備されて行くと思われます。
ぜひ、中古住宅や中古マンションも、住宅インスペクションも含めてご検討してみては如何でしょうか。
参考になれば幸いです。